聴音や耳コピを正しく合理的にできるようにするには、音楽理論の知識がとても役に立ちます。
というわけで、今回はその基本である音程について、簡単な説明と、実際の音を聞いての訓練をしたいと思います♪
音程と、その数え方
音程とは、ある音ともう一つの音との隔たりのことです。
つまりは音と音との距離ですね。
そしてその音程の単位は「度」です。
数え方は、同じ高さの音名(例えば「ド」と「ド」)を1度、隣の音とは2度…という風に数えます。
そして、入門レッスン6内の「半音と全音」で少し触れましたが、隣り合った音同士でも、その隔たりが広いものと狭いものがあります。
これらを区別するために、音程の「○度」の前には「長・短・完全・増・減・重増・重減」という言葉を付けて「長3度」「完全5度」のように呼ぶのですが、それらについては現段階では省きます。
もっと詳しい音程の説明は、下記のページに書いているのでご覧ください。
音程の訓練
以下の訓練では、
耳:音源を聴く
目:譜面を見る
口:歌ったり音名(ドレミ)をつぶやいたりする
などして、耳と目だけでなく、口も使うことを強くお勧めします。
聴音力は、楽譜を見て歌う能力と表裏一体です。
2度
2度音程はお隣同士の音なので、一番簡単かと思います。
ですがこの先、例えば遠く離れた音程が分からずに推測する手段として「ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ」のように何度離れているかを頭の中で数える時に正しく2度ずつ数えることは必須です。
有名曲の中の2度
長調の曲では、「かえるの合唱」が2度の動きで成り立っています。
短調の曲では、「赤い靴」の最初のフレーズが2度で動いています。
3度
3度の関係というのは、その2音の響きが良く安定したものです。
練習曲の後半は、3度の間に途中の音(2度)も挟んでみました。
有名曲の中の3度
長調の曲では、「ちょうちょ」の最初の2小節、「かっこうワルツ」の最初のに小節などが上から下への3度音程です。 短調の曲では、「運命」のあの有名すぎるフレーズ、
4度
4度は、ニュートラルな独特の響きがあります。
有名曲の中の4度
長調の曲では、「蛍の光」の出だしの2音、「赤とんぼ」の出だしの2音、「アメイジング・グレイス」の出だしの2音などが、下から上への4度です。
短調の曲では、「ファランドール(アルルの女)/ビゼー」の出だしが4度です。
(レッスンで学んだイ短調で表現すると、「ラ・ミ・ラーーシ|ドシドラミー」のメロディーです。きっと聴いたことがあるはず)
5度
どの音程も大切ですが、5度はメロディーだけではく和音やベースでも出現頻度の高い特別な音程です。
例えば1度、3度、5度を同時に鳴らすと、調和した和音が生まれます([ドミソ]など。和音については後のページで説明)
有名曲の中の5度
長調の曲では「きらきら星」の最初の「ドドソソ」、が5度音程です。
短調の曲では、白鳥の湖(チャイコフスキー)の「情景」の最初の2音が5度音程です。
(イ短調で表すと、「ミーーーラシドレ|ミーードミーード|〜」の曲です)
6度
6度は遠いように感じるかもしれませんが、響きの良い調和のとれた音程です。
有名曲の中の6度
長調の曲では、「ジングルベル」の出だし、「ショパンのノクターン9-2」の最初の2音、リスト「愛の夢」の最初の2音などが、下から上への6度音程です。
短調の曲では、アメリカ映画「ある愛の詩」のテーマの最初「ドミミドド」が6度音程です。
7度
7度は、、なかなか遠いです(笑)
ですが、実はとっても近いのです。
それについては、次の項で説明します。
まずは練習曲を聞いて歌ってください。
転回してみる
上の7度音程のところで、「遠いけど近い」みたいなワケの分からないことを書きました。
これからその理由を説明します
もう気付いている方もいらっしゃるかも知れませんね♪
下の画像を見てみてください。
[ドーミ]は3度音程ですが、低い方にあるドを1オクターブ高くすると、[ミー高いド]の関係は6度音程になります。
他の音程も見てみましょう。
2度←→7度
3度←→6度
4度←→5度
5度←→4度
6度←→3度
7度←→2度
という関係があることが分かるかと思います。
ちなみにこのように低い方を1オクターブ上に移す・高い方を1オクターブ下に移すことを、
音程の転回と言います。
つまりは、[2度と7度]、[3度と6度]、[4度と5度]は、ひっくり返したら同じになるほどの濃い関係なのです。
転回からのヒント
上の音程の訓練の「7度」の曲、それぞれ片方の音をオクターブ重ねにしてみましょうか。
オクターブを重ねたことで、だいぶ自然な動きとなり、分かりやすくなったかと思います。
聴音初心者さんはオクターブ自体がまだまだ「パッとは分からない」という人も多いかもしれません。
例えば、ある音を聞いて(楽器などで鳴らして)、その音のオクターブ上(下)を推測して歌ってみるのも良い練習になります。
とにかく「7度は裏返せば2度になり、実はとっても近い」ということを覚えておいてください。
今後、聴音や耳コピを練習していく上で、きっと役立つと思います。
おさらいの問題
音程についてササっと学んだ今回の問題は、ちょっと変わったものになります♪
問題
以下の音源1、2、3は、それぞれ以下のA,B,Cの音程を演奏したものです。
どれがどれなのか、答えてください。
A:2度と7度の音程
B:3度と6度の音程
C:4度と5度の音程
音源1=B(3度と6度の音程)
音源2=C(4度と5度の音程)
音源3=A(2度と7度の音程)
どうでしたか?
突然音程の勉強をして、そのままいきなりの問題だったので、難しかったかも知れません。
それでも、音源3の2度と7度(=すごく近いのとすごく遠いの)が分かってもらえれば、現段階ではOKです。