音階(3)音階と調 ほか

やさしい楽典

音楽をするならこれだけは知っておきたい!
そんな楽典(音楽理論)の基礎の基礎を優しくシンプルに解説する「やさしい楽典」。
今回のテーマは音階(3)です♪

音階音の名称

音階(1)では長音階を、音階(2)では短音階を一通り見てきました。
音階の構成音には、それぞれ名前があり、特に重要なものもあります。

音階音の名称

主音(第1音)

一番大事なのが、第1音である主音です。
クラシックではドイツ語で「トニカ(Tonika)」、ポップス系では英語で「トニック(Tonic)」とも言います。
この頭文字を使って「T」と表すことが多々あります。
音階の始点であり終点である音です。
調名もこの主音で表します。(例:主音が「ハ音」ならば「ハ長調」)

属音(第5音)

主音の次に大切なのが、第5音である属音です。
属音は主音の完全5度上の音です。
「ドミナント」と言い、その頭文字を使って「D」と表すことが多々あります。

例えば「ドーソード」と演奏するだけで、ハ長調を予感させます。

下属音(第4音)

属音の次に大切なのが、第4音である下属音です。
下属音は主音の完全5度下の音です。
「サブドミナント」とも言い、その頭文字を使って「S」と表すことが多々あります。

例えば「ドーファーソード」と演奏するだけで、ハ長調を確信させます。

導音(第7音)

特に重要なのは上記のT,D,Sの3つですが、この導音も大切です。
導音は主音の短2度下(=半音下)の音で、主音に導く強い力を持っています。

例えば「シード」と演奏すると、「ド」の主音感が強まります。

その他の音

上主音(第2音)

主音の上の音なので「上主音」。

(上)中音(第3音)

主音と属音の中間なので「(上)中音」。
長調では主音に対して(上)中音は長3度、短調では短3度であり、長調短調それぞれを示す役割を持ちます。
「♪ド レ ミ」と弾くと明るいけれど、「♪ド レ ♭ミ」と弾くと暗くなりますよね。

下中音(第6音)

主音と下属音の中間なので、「下中音」。

長音階と短音階を比べてみよう

前のページでは、同じ調号を持つ長調と短調とを平行調といい、密接な関係を持つと書きました。
今度は、同じ主音を持つ長音階と短音階を比べてみたいと思います。
(ちなみに、主音が同じである長調と短調を同主調と言います)

例として、ハ長調とハ短調の各音階を比べてみましょう。
違いを分かりやすくするため、調号を使わずに書いてみます。

同主調

3種類ある短音階では、第6音と第7音にそれぞれ違いがありましたが、長音階と短音階の最大の差は第3音です。
長調を長調たらしめているもの、短調を短調たらしめているものは第3音だといっても過言ではありません。
(ちなみに「たらしめる」第2位は、第6音です)
たとえば旋律的短音階の上行と長音階とでは、その違いはたったの1音です。
なのにこの第3音が違うために、全く異なる性質になることを実感してください。

聴き比べ:長音階と旋律的短音階の上行

音階と調

ハ調長音階で作られた曲をハ長調、イ調短音階で作られた曲をイ短調などのように呼びます。
このように音階と調とは密接な関係です。
音階(1)のページで調号について触れましたが、調号の「調」は、この調です。

さてここですべての調の調号と主音とをまとめてみましょう。
まずはシャープ系からです。
こうして見ると、長調と短調の関係が短3度であることが良く分かりますね。

シャープ系の長調短調

続いてフラット系です。

フラット系の長調短調

さて、何か気づきましたか?
まず、シャープ系は、主音が完全5度上がるごとに調号♯が増す。
フラット系は、主音が完全5度下がるごとに調号♭が増す。
はい、そうですそうです。
あと何かありますね。

音って何種類ありましたっけ?
鍵盤でいうなら白鍵7音、黒鍵5音の計12音。
なのに上にあげた調は、15種類あります。
はい、お気づきの方も多いかも知れませんが、
・ロ長調/嬰ト短調と、変ハ長調/変イ短調
・嬰ヘ長調/嬰ニ短調と、変ト長調/変ホ短調
・嬰ハ長調/嬰イ短調と、変二長調/変ロ短調

は、調名が異なるけれど実際の音は同じです。
これらを異名同音調と言います。

近親調

ここまで、同じ調号を持つ長調と短調を平行調、同じ主音を持つ長調と短調とを同主調と紹介してきました。
これらは密接な関係を持つ者どうしでしたが、他にも近しい関係の調があります。

ひとつは属調で、ある調の属音(第5音)を主音とする調。
もう一つは下属調で、ある調の下属音(第4音)を主音とする調です。
これらをまとめて近親調と呼びます。
近親調の調たちは共通する音が多く、曲中で自然にそれらの調に行き来したりします。
ここに、近親調の図と、イ短調を主調とした場合の近親調を書いてみます。

近親調

音階 おわり

必要最小限をシンプルに、というつもりで書いているこの「やさしい楽典」ですが、それでも音階については3ページに渡る量となってしまいました。
ここでは取り上げませんが、音階は長音階と短音階だけでなく、半音階や日本音階、教会旋法など他にもいろいろあります。
沖縄の琉球音階などは、テレビ番組などでお馴染みかも知れませんね。
どこかのページで紹介できたらと思いますが、ここではとりあえず音階については終了です。
お疲れ様でした!