聴音が苦手な人が上達するための様々な方法を紹介する「必死の聴音」。
今回はプチ暗記聴音(記憶聴音)のススメというテーマです。

暗記聴音・記憶聴音

聴音にはいくつか種類があるのですが、その中に暗記聴音(記憶聴音)と呼ばれるものもあります。
課題が空白時間を含めて数回繰り返し演奏され、演奏が終わってから初めて筆記するものです。
聞き取る能力だけでなく、それを記憶する能力も必要だし、しかも試験の場での緊張感で記憶がすっ飛んでしまったりして 、苦手に思う人が少なくないようです。
(私もすっとんだ経験あり!)

しかし、この暗記聴音力は、聴音だけにとどまらず音楽をするにおいて、必要な力です。
本ページでは「暗記聴音」のための練習ではなく、「聴音力アップ」のために、プチ暗記聴音の練習をしてみたいと思います♪
*当ページは、暗譜長音が初めてで、聴音が初級レベル程度の方向けに書いています。

暗譜

練習に入る前に、一度聴音から離れて暗譜について考えてみます。
かつて私は暗譜が苦手でした。
そして苦手だからこそ、工夫と努力をしました。
それは脳の1か所(*表現はイメージです)だけを使うのではなく、数カ所で覚えるというものです。
具体的には…
・聴こえる音そのもの(=耳)
・楽譜の音符(=目)
・音名(=頭)
・弾く(=手)
という、4段戦法です。
脳の1か所だけでは力が足りずとも、4か所(*表現はイメージ)同時で活用すると、けっこうイケるのです。
これを聴音にも応用してみたいと思います。

暗譜を聴音に活かす

さて、上記4段戦法をどう聴音に活かせるか見てみましょう。

聴こえる音そのもの(=耳)

これは聴音そのものですね。
ピアノの音で課題が演奏されたなら、その聴こえた音楽を記憶します。
頭の中で同じように音を再現する感じ。

楽譜の音符(=目)

これは聴音では自分で書くことになりますね。
ですがそれだけでなく、聴こえた音を頭の中で楽譜にするのです。
「ミーレド」と聴こえたら、頭の中に「ミーレド」と描かれた五線を映し出すのです。

音名(=頭)

音が聞こえたら、それに頭の中で音名を付けて、音名で歌ってみましょう。
音だけでなく、言葉として記憶に焼き付けます。

弾く(=手)

聴こえたメロディーを自分も即座に真似して弾くつもりでイメージします。
実際に指を動かしても良いでしょう。

練習してみよう

ではいよいよ実際にプチ暗記聴音に挑戦してみましょう!
以下の4つのプチ練習では、まだ五線は使いません。
初めての方を想定して書いているので、順を追って細々と説明しながら行きますよ♪

その1:鼻歌で真似する

①まずは音源(短いフレーズ1回再生)を聴きましょう。
②聴き終わったら、鼻歌で真似して歌ってみましょう。
③歌ったら、もう一度音源を再生して、鼻歌が合っていたか確認してください。

ハ長調・4/4拍子 1小節(再生回数は1回)

その2:音名で歌ってみる

①まずは音源(短いフレーズ1回再生)を聴きましょう。
②聴き終わったら、鼻歌で真似して歌ってみましょう。
③今度は音名を付けて歌ってみましょう。
④歌ったら、もう一度音源を再生して&答えを見て、自分の歌が正しかったか確認してみてください。

ハ長調・4/4拍子 1小節(再生回数は1回)

その3:楽器で弾いてみる

①まずは音源(短いフレーズ1回再生)を聴きましょう。
②聴き終わったら、鼻歌で真似して歌ってみましょう。
③今度はそれを鍵盤などの楽器で弾いてみましょう。
④弾いたら、もう一度音源を再生して&答えを見て、自分の演奏が正しかったか確認してみてください。

ハ長調・4/4拍子 1小節(再生回数は1回)

その4:楽譜にしてみる

①まずは音源(短いフレーズ1回再生)を聴きましょう。
②聴き終わったら、鼻歌で真似して歌ってみましょう。
 歌いながら、そのフレーズを音符にして頭の中で視覚的に思い浮かべてみてください。
④頭の中に音符を描けたら、答え合わせをしてみてください。

ハ長調・4/4拍子 1小節(再生回数は1回)

プチ暗記聴音にチャレンジ

それではいよいよ、プチ暗譜聴音に挑戦してみましょう!
以下の音源は、最後にに「チーン」という終了音が鳴るので、それが聴こえてから五線に書いてください。
課題を聴きながら、また空白の時間にも、上記で挙げた方法を使いつつ、暗記してみましょう♪
もし再生回数が足りなければ、繰り返し再生してください。
今は暗記することが大切であり、回数は重要ではありません。
課題はちょっぴりずつ難しくして行きます。

1問目

ハ長調・4/4拍子 1小節(再生回数は2回)

2問目

イ短調・4/4拍子 1小節(再生回数は2回)

3問目

ハ長調・4/4拍子 2小節(再生回数は2回)

4問目

ト長調・3/4拍子 2小節(再生回数は2回)

5問目

二短調・4/4拍子 2小節(再生回数は2回)

聴音にも活かせる暗記聴音

以上でプチ暗記聴音(記憶聴音)の練習は終わりです。
暗記する際の4つの手段を紹介しましたが、人によって向き・不向きがあると思います。
紹介した方法を参考に、自分自身にベストな方法を見つけてもらえればと思います。

ここでプチ暗記聴音を取り入れたのは、前のページにも書きましたが、聴音の際に1音1音拾うのではなく、フレーズで捉える訓練をしたかったからです。
言葉も「み」と「ず」と「た」と「ま」と「り」と一語ずつ拾うよりも「みずたまり」と1フレーズで言われる方が、記憶に残せますよね(音楽のフレーズは既成の言葉とは異なるので、全く同じというわけには行きませんが)。
さまざまな「音」が集まって連なって、初めて「音楽」になります。
今後も暗記聴音の手法を活用して、個々の音ではなくフレーズを聴きとることを意識してみてくださいね。