「耳コピが出来るようになりたいけど苦手!」もしくは「これから耳コピを始めたい!」という方に役立つヒントを紹介する耳コピヒント集。
今回は3和音の構成と響きを確認してみましょう。

3和音の種類を見てみよう

和音は、ある音を根音(=ルート)として、その上に3度ずつ音を重ねて作ります。
そしてその「3度」の長短増減により響きが異なり名称も変わります。
3和音の基本の4種類を、まずは見てみましょう。

3和音 種類

左から、C(=長3和音)、Cm(=短3和音)、Cm(-5)(=減3和音)、C(+5)(=増3和音)です。
(-5)の部分は、(♭5)とも書きます。
(+5)の部分は、(♯5)やaugとも書きます。
(augはオーギュメントの略です)
お察しの通り、(-5)やC(+5)は、ルートから減5度は「ー」(または♭)、ルートから増5度は「+」(または♯)であることを表しています。

これら四種類の和音が、音階上ではどこに位置しているのかを、次にまず確認してみましょう。

音階上の3和音

長音階上の3和音

長音階上の3和音

長3和音を赤、短3和音を青、減3和音をグレーで囲みました。
主要3和音がどれも長3和音ですね。
2、3、6度が短3和音。
7度のみ、少々特殊な減3和音です。

短音階上の3和音

短音階上の3和音

1、4が短3和音。
5、6が長3和音。
2、7が減3和音。
3が増3和音ですね。
もっとも、上の例は和声短音階上の3和音なので、自然短音階や旋律短音階ではまた異なります。
どの短音階も、音階上のコードはそれぞれ重要ですが、個別には別の機会で見ていきます。

長3和音

「♪ドミソ」でお馴染みの長3和音は明るい響きを持っています。
とはいえ短調でも長3和音は使われます。
曲調によって、前後の流れによって、同じ長3和音でも雰囲気が異なります。

例1:とにかく明るい長3和音


4小節、3種類の長3和音のコード進行です。
ひたすら明るいです。

例2:穏やかな雰囲気の長3和音


ト長調ですが4度の「C」から始まっています。
音階上の和音である、G・C・Dだけを使った、穏やかな雰囲気です。

例3:短調の中の長3和音

短調とは言っても自然短音階上の3和音をベースにした構成なので、暗い感じはあまりありません。
この例で使っている長3和音は、平行調であるハ長調の音階上の和音でもありますね。

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以上はほんの一例で、もちろん他にもいろいろな明るさ・暗さ・雰囲気で長3和音は使われています。

短3和音

ルート(根音)と第3音が短3度の関係である短3和音は、単独では暗く寂しいような雰囲気を持っていますが、明るい曲でも、どんな曲でも使われています。
こちらも例を見てみましょう♪

例1:短3和音だけを用いたコード進行

和声的短音階上の3和音ではⅠとⅣだけが短3和音ですが、それ以外の短3和音も取り入れました。


例2:Ⅰm、Ⅴmが印象的な進行

上の曲でも登場しましたが、こちらもⅤmが出てくる進行です。
短調において第7音(=和音Ⅴの第3音、イ短調ならば「ソ」の音)は半音上がるのが基本ですが、それを上げずに自然短音階のⅤ(イ短調ならEm)を使う曲も多いです。
下の例では、さらに♭Ⅶ(コードC)も使っており、ますます「第7音は半音上げないぞ」という色が強いです。


例3:長調の曲の中の短3和音

明るかったり優しい雰囲気だったりの長調の曲でも、短3和音はたくさん使われています。
下の例は、ハ長調の音階上の和音を使った曲です。
ちなみにこれが4和音になると、もっとニュアンスのある雰囲気になりますがそれは次回以降のページで。


減3和音

ルート(根音)と第5音が減5度である減3和音。
ルートと第3音の音程は短3度で、第3音と第5音の音程も短3度です。
減3和音はいくつかの性質を持っているので、それを見てみましょう。

1.なんか不安

減3和音だけを鳴らすと、なんだか不安な印象を受けます。
以下の例はずっとBm(-5)で、すべてその構成音です。


ちなみに、第5音の上にさらにもう一つ短3度を重ねると、ディミニッシュコードになり、もっとちゃんと(?)不安感を醸し出します。
昭和のサスペンスドラマにあったに違いない響き。
ディミニッシュコードについては、後のページで取り上げます。


2.共通項

単独では不安感のある減3和音ですが、実は属七の和音の根音を除いたものと同じ構成です。
よって、たまにV7的な役割で使われることがあります。

3.次の音に行きたい

流れにもよりますが、減3和音の不安定さが「早く次の音に行って落ち着きたいわ!」という雰囲気を強く醸し出すことがあります。
この特質を効果的に用いることが、さまざまなジャンルの曲であります。

例1


例2


増3和音

最後は増3和音です。
増3和音は、ルートから第5音が増5度、ルートから第3音が長3度、第3音から第5音も長3度という構成です。
こちらも不安定な印象を与えますが、減3和音のようなミステリー感はなく、「あれれ、ハテナ?」という感じの響きです。


ちなみに増3和音の上にさらに長3度を重ねると、ルートをオクターブ高くしたのと同じ音になります。
下の画像では、Caugの第5音である♯Gを、異名同音である♭Aに読み替えて上に長3度を重ねるとC音になります。

一番多い使われ方は、長3和音の第5音が半音上がっていく進行でしょう。
下の例は、「オーラ・リー」のサビの部分です。


練習問題

では最後に少し、練習問題にチャレンジしてみましょう♪

問題1

3つの和音が順番に演奏されます。
長3和音は何番目でしょうか?

正解は三番目でした。
一番目はFaug、二番目はFsus4、三番目がFでした。
(sus4については後のページで)

問題2

3つの和音が順番に演奏されます。
減3和音は何番目でしょうか?

正解は二番目でした。
一番目はG、二番目がGm(-5)、三番目はGmでした。

最後に

以上、長3和音、短3和音、増3和音、減3和音を見てきました。
コードネームでおさらいすると、「ド」音が根音(ルート)の場合ならば
C、Cm、Caug、Cm(-5)
になります。

以降のレッスンでは、これらの上にさらに音を重ねた4和音や、もっと音を重ねたテンションなどを、音源の参考例を交えながら見ていきたいと思います。