「耳コピが出来るようになりたいけど苦手!」もしくは「これから耳コピを始めたい!」という方に役立つヒントを紹介する耳コピヒント集。
今回はコード(和音)の〇〇6(シックス)の響きの特徴を見てみたいと思います。

□6(シックス)とは?

和音(コード)は、根音(ルート)から3度ずつ積み重ねて作るので3rd,5th,7th,9th…のように奇数度数になるのですが、例外の一つで「6th」があります。
お隣の7thとは明らかに異なる独自の響きを持っています。
どのような音なのか、理論と耳とで確認していきましょう♪

6th=ルートから長6度

7thにはルートから長7度の「M7」と、短7度の「7」がありました。
ですが6thは長6度のみです。
そして表記は「6」と書きます。

コード 6th

(1)□6(長3和音+ルートから長6度)


長3和音に、ルートから長6度の音が加わった和音です。
曲調や使い方にもよりますが、気取らない、くだけたような雰囲気をもつ場合が多いです。

ひたすら明るい6th

メロディーのドアタマに6thを持って来ています。
このアレンジは底抜けに陽気な感じですが、例えばスタンダードジャズの「マック・ザ・ナイフ」も1小節目のメロディーに6thの音が使われています。


ちょっと切ない6th

アレンジに寄りますが、明るい6thも切なさを醸し出すことがあります。
その理由は下記(3)で説明します。


(2)□m6(短3和音+ルートから長6度)


短3和音に、ルートから長6度の音が加わった和音です。

暗さ倍増、Ⅰm6

曲調にも寄りますが、例えばⅠがⅠm6だと、暗くキツイような印象がある場合が多いです。


時々使われる、長調でのⅣm6

わりとシンプルで万人受けする曲に多いでしょうか…
長音階で第6音が半音下がって、ちょっと切ないような雰囲気になる時があります。
まずはⅣm。


そしてこのⅣmを、Ⅳm6にしても同じような効果を与えます。
ここがⅣm7になるとまた違う方面に爪先を踏み入れてしまうのですが、Ⅳm6はⅣmと同じところに存在する感じです。
短調のⅠm6のちょっとキツイ暗さとは別の雰囲気が感じられると思います。


(3)実は〇〇と同じコード

さて、□6と□m6をもう一度見てみましょう。
今度は鍵盤で見てみましょうか。

6thを鍵盤で

ここで、一番高い6thの音を、一オクターブ下げてみます。
まずはC6から…

C6がAm7に

すると、音がちょうど3度ずつ並んで…3度ずつの積み重ねって、まさにコード(和音)ですね。
「ラ・ド・ミ・ソ」で、あらら、これはAm7ではないですか!
つまり、C6とAm7とはルート(根音)は異なる物の、中身は全く同じ和音なのです。
長三和音(=明るい)+6thだったのが、短三和音(=暗い、さみしい)+7thでもあったのです。
上の方で書いた「ちょっと切ない6th」の切なさの理由は、この「短三和音を含んでいること」だったのです。

では同様に、□m6も見てみましょう。

「ド・♭ミ・ソ・ラ」が「ラ・ド・♭ミ・ソ」、つまりCm6がAm7(-5)になりました。
やはりルート(根音)は異なる物の、中身は全く同じ和音なのです。

これらのように、譜面での表記は異なっても実際には同じ構成音である和音を、異名同和音(異名同音的和音)・エンハーモニック・コードと呼びます。

練習問題

では、6thを聞き取る練習問題にチャレンジしましょう♪

その1

ルート(根音)が「F」の、3種類の和音が演奏されます。
「F6」は何番目でしょうか?

正解は2番目でした。
(1=F、2=F6、3=F7)

その2

ルート(根音)が「G」の、3種類の和音が演奏されます。
「Gm6」は何番目でしょうか?

正解は3番目でした。
(1=Gm、2=GmM7、3=Gm6)


おわりに

以上、6th(ルートから長6度)を含むコードの確認でした。
7thとはお隣なのに、音の響きには大きな違いがありますね。
「聞き分ける自信がない!」という方のために、次の項では長6、短7、長7の違いを確認していきたいと思います!