「耳コピが出来るようになりたいけど苦手!」もしくは「これから耳コピを始めたい!」という方に役立つヒントを紹介する耳コピヒント集。
今回はⅡm7-Ⅴ7(ツーファイブ・トゥーファイブ)についての、その(1)です。

Ⅱm7-Ⅴ7とは?

ハ長調ならば、Dm7-G7になります。
ジャズスタンダードではこの進行の出てこない曲は無いのではないかというほど、お決まりの進行です。
そしてジャズ以外の曲でも非常に良く使われます。

まずは聞いてみましょう。
一番最初はⅡm7-Ⅴ7ではなく、比較としてⅣ-Ⅴ7にしています。

ツーファイブ

❶ ⅣーⅤ7ーⅠ
❷ Ⅱm7ーⅤ7ーⅠ(❶とはバスの音が変わっただけ)
❸ Ⅱm7ーⅤ7(-9)ーⅠ(Ⅴ7にテンション「♭9」が加わり、「ラー♭ラーソ」という流れができている) ❹ Ⅱm9ーⅤ7(9,13)ーⅠM9(7th、9th、Ⅴ7では13thも加わり、ジャズっぽい響き)

Ⅱm7-Ⅴ7の例(長調)

基本の理論では、Ⅴ7はⅠへと進むのですが、そうでないコード進行もあります。
以下の音源はⅡm7-Ⅴ7を使った一例です(8小節)。



実際に演奏している和音の譜面はこちら

❶ Ⅱm7ーⅤ7ーⅠ:基本の進行
❷ Ⅱm7ーⅤ7ーⅢm7ーⅥ7:2-5-3-6も良くある進行です
❸ Ⅱm7ーⅤ7ーⅥM7:6度のメジャーセブンに行ってみました。ちょっとハッとする感じかと。
❹ Ⅱm7ーⅤ7ーⅠ:曲の最後として王道の終わり方。

短調でもⅡm7-Ⅴ7

さてさて、短調のⅡm7-Ⅴ7も良く使われます。
が、短調の場合はⅡm7(-5)と、Ⅱm7の二種類があります。
前者はかなり暗い響きで、どちらかというと昔からある音楽に多い印象です。
後者の方がポップス系では多いですね。

2つの違いを聞き比べてみてください。


Ⅱm7(-5)-Ⅴ7

今度はもっと曲らしくしてみました。
先にⅡm7(-5)の方から。
ハ短調です。



実際に演奏している和音の譜面はこちら

Ⅱm7-Ⅴ7

続いてⅡm7の方です。
Ⅱm7(-5)の時よりもちょっとノッてしまいました。



実際に演奏している和音の譜面はこちら

両者の違い

両者の違いは、Ⅱm7の第5音が完全5度か減5度かの違いです。
そしてこの音は、その短調の音階の第6音です。
短調を短調らしくしているのは第3音ですが、それに続いて第6音も短調ならではの暗い雰囲気に一役買っています。
なのでⅡm7(-5)は暗い雰囲気、Ⅱm7はそこまで暗くない雰囲気に感じられるでしょう。
また音階の第3音が短3度、第6音が長6度であるのはドリアンスケールとも共通し、実際にそれはドリアンモードの曲だったりします。(ドリアンスケール等については別の項で書く予定です)

練習問題

次の3つの短いフレーズの中でⅡm7-Ⅴ7が使われているのはどれでしょうか?




正解は③でした。
①はAm   |Bm7(-5) G  |
②はAm7   |Em7  Gm  |
③はAm   |Bm7  E7(+9) |
でした。
それぞれの譜面はこちら


おわりに

以上、長調と短調でのⅡm7-Ⅴ7についてでした。
きっと聴いたことのある響きだったのではないかと思います。
Ⅱm7-Ⅴ7は曲の途中ではもちろん、曲の1小節目から使われることもよくあります。
日々接する音楽の中のⅡm7-Ⅴ7を見つけてみてくださいね♪