シャープ(♯)やフラット(♭)という言葉やその記号を、見たことがあるかと思います。
これらは変化記号と言い、変化記号には2種類の使い方があります。
今後のレッスンでこれら変化記号を使うので、その前に正しく理解しておきましょう!
(*今回のレッスンでは聴音の問題はありません)

(1)変化記号とは?

ある音を高く、または低く変化させる記号を変化記号と言います。
また、高く/低くした音を元に戻す記号も、変化記号に含まれます。

たとえば、白鍵の「ド」を五線上に書くと、下画像の上のようになりますね。
では、その「ド」を半音高くした場合、五線にはどう書けば良いのでしょうか?
そのような時などに使うのが、変化記号です。

(2)変化記号の種類と役割

変化記号は5種類あります。
表にまとめてみましょう。

変化記号 一覧

上記のように、
♯(シャープ)は半音高く、
𝄪(ダブルシャープ)はシャープをさらに半音高く、
♭(フラット)は半音低く、
♭♭(ダブルフラット)はフラットをさらに半音低く、
♮(ナチュラル)はこれら上記の記号の効力を無効にします。(鍵盤でいうと白鍵の音に戻します)

そしてこれら変化記号は、
調号として使われる場合と、
臨時記号として使われる場合とがあります。
以下に説明します。

(3)調号

「調」という言葉、これまでにも出てきましたね。
そう、ハ長調の「調」です。
その曲の調を表すための記号を調号といい、調号に使われる変化記号は♯(シャープ)か♭(フラット)のみです。
そして調号は、ト音記号などの音部記号の次に書きます。
つまり、ト音記号を書く→調号を書く→拍子記号を書く、という順になります。

今まではハ長調だけで説明と練習をしてきたので、調号がありませんでした。
ハ長調ならば調号なし、ト長調ならば♯がひとつ、変ロ長調ならば♭がふたつ…というように、調号で調が示されます。
そして調号の効力はずっと有効で、他の指示がない限り、例えばト長調では「ファ」は、ずっと半音上がった黒鍵盤の「ファ」を演奏します。

調号 聴音レッスン

これら調号については、各調のレッスンや調と調号のまとめなどで具体的に説明していきます。

(4)臨時記号

曲の途中で臨時に使われる変化記号を臨時記号と言います。
臨時記号は、上で示したすべての変化記号が用いられます。
臨時記号は、それを付ける音符の左に書きます(下画像参照)

臨時記号の書き方

そして臨時記号の効力は局所的です。
以下に説明します。

臨時記号の効力

(1)臨時記号が付いた音以降の、同じ小節内のみ有効
(2)同じ高さの音にのみ有効

実際の譜面で見てみましょう。

臨時記号の効力

1…臨時記号が付いた音なので、有効。
2…同じ「ファ」だが高さが異なるので、無効。
3…同じ高さの「ファ」なので、有効。
4…次の小節になったので、無効。

…なのですが、実際の譜面では下例のように親切に♮等が付けてある場合も少なくありません。

(5)おさらい問題

今回は聴音の問題ではなく、変化記号の正しい知識を確認する問題です。

問題1

以下の楽譜の、①から⑧それぞれの音は、鍵盤上で白鍵・黒鍵どちらなのかを答えてください。

変化記号 問題2
①白鍵
②白鍵:臨時記号♮によって、♯が無効になったため。
③黒鍵:臨時記号による。
④白鍵
⑤黒鍵:臨時記号による。
⑥白鍵:③の臨時記号♯は、小節が変わったので無効なため。
⑦白鍵:⑤の臨時記号は、高さの異なる音には無効なため。
⑧黒鍵:調号による。

問題2

以下の楽譜の、①から⑧それぞれの音は、鍵盤上で白鍵・黒鍵どちらなのかを答えてください。

変化記号 問題1
①黒鍵:「調号」で「シ」の位置に♭が付いているため。
②黒鍵:「調号(シの♭)」は、すべての高さの同音に有効なため。
③白鍵:「臨時記号」の♮で、「シ」の♭が無効になったため。
④黒鍵:③の臨時記号は、異なる高さの音には無効なため。
⑤黒鍵:「調号」による。
⑥黒鍵:③の臨時記号♮は、小節が変わって無効になったため。
⑦黒鍵:「調号」による。
⑧白鍵:「臨時記号」による。③と同じ。

(6)おわりに

まとめとなりますが、
・変化記号は5種類ある
・調号には♯と♭が使われる
・調号はト音記号など音部記号の次に書き入れる
・調号はすべての高さの音に有効
・臨時記号は、音符の左隣に書く
・臨時記号は同一小節の同一の高さの音にのみ有効

ということを覚えておいてください。
調号も臨時記号も、今後のレッスンで登場してきます♪