前回のレッスンでは、音階上に3和音を作り、Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ(Ⅴ7)が重要だということを説明しました。
今回はその和音に慣れる練習をしたいと思います。

(1)ハ長調での練習

Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅴ7の和音を分解してメロディーにしました。
メロディーを聴きながら和音も感じてもらいたいので、和音も一緒に鳴らしています。
さらに、楽譜のⅠ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅴ7を色分けしてみました。
(ⅤとⅤ7は、線の本数で区分)

いつものように、目で見て、耳で聞いて、口で音名を口ずさんで、そしてそれにプラス和音を意識して取り組んでみてください。

練習曲 1

和音構成音の階段を上って降りて…のメロディー。


練習曲 2

和音構成音を3歩進んで1歩戻って…のメロディー。


(2)イ短調での練習

ハ長調の練習と同様、Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅴ7の和音を分解してメロディーにしました。

練習曲 1

和音構成音の階段を上って降りて…のメロディー。


練習曲 2

和音構成音をジグザグに下降してくるようなメロディー。
同じようなのを4曲連続で作って飽きちゃったので背景の伴奏を変えました♪


(3)和音の知識を聴音に生かす

前回のレッスンで取り上げた「春が来た」をもう一度見てみます。
それぞれの小節の和音の構成音に、丸を付けてみました。

お、見事に丸だらけになりました(笑)

和音に対して、メロディーとして使って良い音には規則があります。
例えば[ドミソ]の和音が響いている時に[ファファファファ]というメロディーは無いのです。
もちろん規則も色々あって、実際にはどんな音でも使え得るのですが、それは例えば[ミファソ]と続くメロディーでの途中経過としての「ファ」であるなど、理由があるのです。

シンプルな曲であるほど、メロディーに多用される音は、和音構成音のメンバーである率が高くなります。
メロディーの音が和音構成音である時、その音は地に足のついた、根の張ったような安定感があります。
逆に複雑な感じがする曲、オシャレな雰囲気を醸し出している曲などは、たとえば[ドミソ]の和音に対して「レ」とか「シ」とか「ラ」とかの音を取っていたりします。

さて、これらをメロディー聴音や耳コピに活かすとなると、そもそも「その小節(または拍)の和音は何なのか?」ということも分かる必要があります。
「そんなの分かったらそもそもこんなサイトに来ないよ!」
と思われるかも知れません。
でも例えばテレビから聞こえてくる曲で、それが何調かは分からなくても、「Ⅰ」は何となく分かるのではないでしょうか?
曲によっては「Ⅰ」の前の「Ⅴ7」も分かるかもしれません。
とにかく「聴いて、考える」訓練を繰り返すことで、徐々に総合的な聴音力は養われてきます。

この聴音サイトでも、易しい課題から徐々に難易度を上げています。
これから課題(練習問題)に取り組む時に、やみくもにメロディーを聞き取るだけでなく、その背景にあるであろう和音を想像するクセも付けることで、
「ここは恐らくⅣ(ハ長調のファラド)だから、この跳躍している音は”ラ”か”ファ”かも」
という風に、耳に自信がない場合でも理論から推測する助けとなるはずです。

(4)練習問題

前回のレッスンと同様、相応しい和音を選ぶ問題です。

問題1

以下の曲はハ長調ですが、① ② ③ ④に相応しい和音を、
Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅴ7
の中から選んで当てはめて下さい。

①=Ⅰ、②=Ⅳ、③=Ⅴ7、④=Ⅰ

問題2

以下の曲はイ短調ですが、① ② ③ ④に相応しい和音を、
Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅴ7
の中から選んで当てはめて下さい。

①=Ⅰ、②=Ⅴ、③=Ⅴ7、④=Ⅰ

(5)おわりに

(3)のところでも書きましたが、前回と今回のレッスンで学んだ和音に関しては、このレッスンで習得して終わりというものではなく、今後の聴音や音楽への取り組む時の「クセづけ」の紹介です。
今後のレッスンで出てくる曲でも、その和音を想像したり、メロディーの一つ一つの音が和音構成音か否かを分析してみたりなど、取り入れてみてください♪