さて今回は気分を変えてヘ音記号のレッスンです。
低い音もマスターしましょう!

(1)もっと低い音は?

さて、これまでは一定の範囲内での音の高さでレッスンを行ってきました。
ですがもっと低い音も使いたい!
そんな時はどうすれば良いのでしょうか?
五線に収まりきらない音は、加線を使って書くのでしたね。
でも…

ト音記号 低い音

こりゃ読みにくいし、スペースも無駄に使いますね。
これはNGです。
ではどうするかと言うと、ト音記号とは別の記号を使います。
それがヘ音記号なのです。

(2)ヘ音記号について

ト音記号は「G」の文字が変化して図案化されたもので、「ソ」の位置を示していることは
入門 レッスン3:楽譜のきほん
で書きました。

今回学ぶヘ音記号は、「F」の文字が変化して図案化されたもので、F音=ヘ音=「ファ」の位置を示します。
下の楽譜の音符のある位置(第4線)が「ファ」になります。

ヘ音記号

音の高さが分かりやすいように、おなじみのト音記号の音符と比べてみましょう。

ト音記号とヘ音記号

中央の「ド」の位置が、同じ高さとなります。

つまりは

上の左と右とは、同じ高さの音を示しています。
低い音も加線を使わずに書けるし、もっと低い音も余裕で書けますね。

(3)譜表について

さて、ヘ音記号の音符を見る前にひとつ知識を。
ト音記号やヘ音記号など、音部記号が描かれた五線を譜表と言いますが、それぞれ下記のような呼び方をします。

ト音譜表

ト音記号が記された譜表をト音譜表と言います。
他に、高音部譜表、ヴァイオリン譜表とも呼びます。

ト音譜表 高音部譜表

ヘ音譜表

ヘ音記号が記された譜表をヘ音譜表と言います。
他に、低音部譜表、バス譜表とも呼びます。

ヘ音譜表 低音部譜表

大譜表

ト音譜表とヘ音譜表を結んだものを大譜表と言います。
ピアノなど広い音域を持つ楽器で使われますね。

大譜表

*今後の聴音の問題では、「ト音譜表」「ヘ音譜表」のように譜表を指定しますね。

(4)ヘ音譜表でドレミファソ

では早速ヘ音記号と音符を見てみましょう!
まずは「ドレミファソレシド」を書いてみます♪

ヘ音記号 ドレミファソラシド

低い方の「ド」は、第2間に位置していますね。
まずはここをきっちり覚えてください!

続いては、ハ長調の主和音である[ドミソ(ド)]を書いてみます。
第2間の「ド」に続いて、「ミ」と「ソ」も「間」に位置していますね。


では今度は音階を2オクターブ書いてみましょう!
ずっしり低い音まで行きました。


「ド」の音だけを取り出して比べてみましょう。


(5)ヘ音譜表に慣れよう

それではヘ音譜表に慣れる練習です。
見る・聴くだけでなく、音名で歌う(無理なら歌っているつもりで音名を呟く)こともやってくださいね。

1曲目

3度ずつ(=音の階段の1段ぬかし)の進行で、五線の「線」と「間」それぞれにまとめてみました。


2曲目

同じく3度ずつの進行で、五線の「線」と「間」それぞれにまとめてみました。
二短調です。


3曲目

ト長調。
音階をメインにしたメロディーですが、譜読みは跳躍した音の方が難しいですね。
4、8小節はシンコペーションです。


4曲目

イ短調、3/4拍子。
前半は音が跳躍しているので、少し難しいでしょうか。
ト音譜表と同じレベルでスラスラ読めるようになるまで、慣れと練習を重ねましょう。


(6)へ音譜表を制覇するヒント

音楽は言語と同じ。とにかく接して、触れて、慣れることです。
ヘ音記号での譜読みの実力を付けるヒントを2つ挙げます。

ひとつは、書くこと。
知っているメロディーを、1オクターブ下げてへ音譜表で書いてみましょう。
かえるの歌、チューリップ、ちょうちょ、ぶんぶんぶんなど、シンプルで短い曲がおすすめです。
もしくは自分で低音のメロディーを考えて、へ音譜表に書くなど。

もう一つは、聴く&見ること。
へ音譜表で書かれた楽譜を見ながら、その演奏の音楽を聴くことも、慣れるのに良い方法です。
チェロやトロンボーンなど、低音でメロディーを奏でる楽器の演奏を聴きながらその譜面を見れると良いです。
探したのですが、良い動画や楽譜が見つからず…
作る余裕ができたら掲載したいと思います。

(7)練習問題

1問目

以下の楽譜は、「故郷の人々」の曲の一部です。
これを1オクターブ下げて、へ音譜表に書いてください。

2問目

聴音の問題です♪

ハ長調
4/4拍子
4小節
☆へ音譜表に書いてください☆

聴音 ヘ音記号

3曲目

ヘ長調
4/4拍子
4小節
☆へ音譜表に書いてください☆

少し難しい問題でした♪

(8)おわりに

以上、ヘ音記号・へ音譜表についての学習でした。
しつこいようですが、大切なのは慣れです。
難しい、でも聴音や耳コピ、演奏やアレンジ、作曲などが出来るようになりたい!という人は、とにかく書いて、読んで(譜読み)慣れましょう。
当サイトでも、今後もヘ音記号・ヘ音譜表を取り入れたレッスンを続けていきます。