これまでにも音名や調名に触れてきましたが、今回はもう少し詳しく見てみたいと思います。
聴音や耳コピ能力向上には直接は関係ありませんが、知っておいて損のない知識なのでお付き合いください♪
(1)音名おさらい
まずはおさらいから。
馴染みのあるドレミファ…はイタリア語で、それを日本名ではハニホヘ…、英語ではCDEF…と呼ぶことは、過去のレッスンで紹介しましたね。
では、例えばシャープが付いた音は?
フラットが付いた音は?
どう呼ぶのでしょうか?
(2)♯や♭の付いた音名
私たちは普通に「ドのシャープ」とか言っちゃいますが、「ド、レ、ミ」などの音名はイタリア語、「シャープ、フラット」などは英語です。
では全部英語だとどう言うの?
日本語では何と??
早速見てみましょう!
♯(シャープ)が付いた音名
日本語では「嬰(えい)」が付きます。
「嬰ハ」などの言い方をします。
「嬰児」の「嬰」ですね。
英語ではおなじみの「sharp(シャープ)」が付きます。
「C sharp(シーシャープ)」などの言い方をします。
クラシック音楽でおなじみのドイツ語では「is」を付けます。
「Cis(ツィス)」などの言い方をします。
ちなみに「ドレミ」のイタリア語では、「diesis(ディエジス)」が付き、「Do diesis(ド ディエジス)」のようになります。
♭(フラット)が付いた音名
日本語では「変(へん)」が付きます。
「変ト」などの言い方をします。
英語では「flat(フラット)」が付きます。
「G flat(ジー フラット)」などの言い方をします。
ドイツ語では「es(エス)」を付けます。
「Ges(ゲス)」などの言い方をします。
ただし「Es」「As」「B」は例外で、楽典試験の易しい問題として出題されたりもします。
イタリア語では「bemolle(ベモルレ)」が付きます。
「Sol bemolle(ソ ベモルレ)」などの言い方をします。
#や♭が2つ付く場合の音名
聴音初級レッスンでは扱いませんが、シャープやフラットが2つ付く場合もあります。
例えば、調号ですでにフラットが付いている「シ」を、さらに半音下げる場合などです。
(鍵盤上では、この音は白鍵の「ラ」の位置になります)
シャープ2つの場合
[日本] 重嬰 (例:重嬰ハ)
[英・米]double sharp(ダブルシャープ)(例:C double sharp)
[ドイツ]isis(イシス)(例:Cisis)
フラット2つの場合
[日本] 重変 (例:重変ト)[英・米]double flat(ダブルフラット)(例:G double flat)
[ドイツ]eses(エセス)(例:Geses)
*「Eses」、「Ases」は例外。重変ロは「Heses」。
(3)調名
音名を一通り確認したところで、今度は調名を見てみましょう。
レッスン2:ハ長調で書いた通り、長調と短調は以下のように言います。
そして調名は、その調の主音の音名+上記長調(短調)で表します。
日本名なら、ハ長調、イ短調、変ロ長調、嬰へ短調などのようになります。
英語名なら、C major、A minor、B♭ major、F♯ minorなど。
ドイツ語名では、長調の音名は大文字、短調の音名は小文字で表します。
C dur、a moll、B dur、fis mollなど。
(ドイツ音名の「B」は、「変ロ」であることに注意。「ロ」ならば「H」になる)
(4)高さの区別を付ける音名
同じ「ド」でも、高いド低いド、もっと高いド、もっと低いド、たくさんありますね。
これらの高さの区別をつけた日本語音名は、下図のようになります。
一つ覚えておくと良いのは、「1点ハ音」(ピンクで囲った音)。
ど真ん中の「ド」です。
他はそうそう出番はないですが、読み方は低い方から
下一点音
ひらがな音
かたかな音
一点音
二点音…
のようになります。
(5)練習問題
今回は聴音の問題ではなく、音名についての出題です♪
下の(1)〜(3)の音符の音名を、例にならって[日本、英・米、ドイツ]名で答えてください。
(1)変イ、A flat(A♭)、As
(2)嬰ニ、D sharp(D#)、Dis
(3)重嬰ト、G double sharp(G𝄪)Gisis
(6)おわりに
以上、音名と調名についての説明でした。
嬰・変、sharp・flat、is・es…
長調・短調、major・minor、dur・moll…
は、記憶の端に留めておいてください。
あと、ドイツ語は規則性から外れるものもある、ということも。
中級以上の課題では、日本名、英米名、ドイツ名で出題する予定です♪