例えばハ長調の音階の構成音は、ピアノ鍵盤でいうと全部白い鍵盤でしたね。
でも実際の曲では黒鍵の音も度々使います。
今回のレッスンではそれらの「音階に無い音(=臨時記号の付く音)」について知り、聴音チャレンジしましょう。

タイプ1:出て戻る音

例えばアメリカ民謡の「森のくまさん」を見てみましょう。

森のくまさん

[ソー♯ファーソ]
[ミー♯レーミ]
それぞれ、元の音から半音下がって、また元の音に戻っていますね。
他にも例を挙げてみましょう。

刺繍音 例

なんとなく分かって来ましたか?
ちなみにこういうタイプの音を刺繍音と言います。
(刺繍音は半音だけでなく全音もあります。)

タイプ2:途中経過を埋める音

経過音

ある音から別の音へ行く時に、その途中にある音も経由していくパターンです。

シャープ?フラット? 異名同音

さて、ここで「シャープとフラット、両方使われてるけど、どう使い分けるの?」
と思った人がいるかも知れませんね。
もうお気づきかも知れませんが、例えば下の鍵盤の赤丸が付いた音。

異名同音

これはドのシャープであると同時に、レのフラットでもありますね。
このように、音名が異なっても実際には同じ音であるものを異名同音といいます。
では実際問題、シャープとフラットどちらで書けば良いのでしょうか?

これにはベースとなる決まりごと+場面による判断で決めますが、今のところは大まかに
・フレーズが上行する時は「♯」
・フレーズが下行する時は「♭」
と捉えておけば良いでしょう。

例えば下の楽譜は、赤丸で囲んだ音は同じ音ですが、上行では♯を使い、下行では♭を使っています。

タイプ3:下/上からアクセスする音

倚音

上の例のように、音階構成音(大抵は和音構成音)に向かって、半音下や半音上からアプローチするパターンです。

タイプ4:一時的に他の調の和音を使う時


例えばハ長調の曲中に、部分的にヘ長調のⅤ7(=シが♭)や、イ短調のⅤ7(=ソが♯)を使うことがあります。
もちろん他の調、他の和音を使うこともあります。
これらについては今回のレッスンでは扱わず、後のレッスンで取り上げる予定です。

半音と全音 聞き比べ

さてさて、タイプ1とタイプ3に関しては、”音階音以外の音”ではなく、音階音でもあり得ます。
半音もあれば、全音もあります。
これらを聞き比べてみましょう。
水色の線は半音の関係、赤色の線は全音の関係です。
両者の違いを噛み締めてください。


半音と全音の違いを実感するには、2つの音を重ねるとわかりやすいかも知れません。
水色の線は半音の関係、赤色の線は全音の関係で音を重ねたので、聞き比べてみてください。


全音でも「ぶつかり感」を感じられると思いますが、半音だと何か不安げな独特な響きが生まれます。
後に和音や和声聴音、耳コピなどをする時に、この”半音ぶつかりの独特感”を知っていると、すぐに「あ、半音でぶつかってる」とわかるようになりますよ♪

練習問題

ではいよいよ”音階音以外の音”も登場する聴音にチャレンジしましょう!
初級の時よりも、速度(テンポ)も少し上げています♪

1問目

ハ長調
4/4拍子
4小節・ト音譜表

2問目

ハ長調
3/4拍子
4小節・ト音譜表

3問目

ハ長調
4/4拍子
4小節・ト音譜表

臨時記号 練習 聴音

4問目

ハ長調
4/4拍子
4小節・ト音譜表

おわりに

以上、聴音中級の最初のレッスン「音階音にない音」でした。
これらの音を使うことで曲は素敵になりますが、聴音では「レ ミ」なのか「♯レ ミ」なのか気をつけるポイントになりますね。
聴いて「♯レ ミ」と分かっていても、他の部分の複雑さに気を取られて「♯」をつけ忘れるケアレスミスも起こり得ます。
今後のレッスンでもこれらの音も取り入れた練習曲を載せていくので、バッチリ出来るように経験を重ねましょう!