聴音中級レッスン8は、「嬰へ短調」です。
調名に「嬰」が出てくるのは初めてですね!
嬰へ短調とはどのような調なのか、見ていきましょう♪

嬰へ短調

シャープ 音名

「嬰へ」音は、ドレミファソラシで言うと「ファのシャープ」ですね。 そして「嬰へ短調」は、嬰へ調短音階で書かれた楽曲の調のことです。
ということで、早速、嬰へ調短音階を見てみましょう!

嬰へ調短音階

嬰へ調短音階は、F♯音を第一音とする短音階のことです。
そして、F♯音を第1音として短音階を作ると、「ファ」「ド」「ソ」の各音を半音上げる必要があります。 つまり、嬰へ短調は3つの♯を調号に持ちます。
では他の短音階と同様に、3種類の短音階を見てみましょう。

嬰へ短調 音階

和声的短音階と旋律的短音階では、第7音の「ミ」にシャープが付いています。
ここまでレッスンを学んできた皆様にはお分かりかと思いますが、ミのシャープは鍵盤上では「ファ」の位置です。

ミのシャープ 鍵盤

そして「嬰へ短調」とは日本語であり、英語では「F♯ minor」、ドイツ語では「fis moll」と言います。

嬰へ短調の主要3和音

これまでと同様に、主要な3つの和音を見ていきたいと思います!
音階上に3度ずつ音を重ねて3和音にしていますが、「Ⅴ」は7度の音がとても大切なので、便宜上4和音にしています。

嬰へ短調 和音

重要な3つの和音(Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ7)を使った基本的なパターン。

嬰へ短調 主要3和音

嬰へ短調の練習

では嬰へ短調に慣れるための練習をしましょう。˙˙
音源を聴きながら楽譜を見るだけでなく、一緒に歌うか、音名の譜読みもしてください。
(必要に応じてオクターブ下げ上げしてください)
譜読みの際は、その高さの音を歌っているつもりで行ってくださいね。
楽譜を見てその音を歌う能力と、聴音の能力とは表裏一体です。

その1

音階を使って作ったメロディーです。
前半は旋律的短音階、後半は和声的短音階を使っています。

嬰へ短調 練習

その2

音階+主要3和音の構成音を使ったメロディーです。
和音はⅠを赤、Ⅳを青、Ⅴを紫(Ⅴ7は二重線)で色分けしたので、それぞれの特長を感じてください。


その3

音の階段を1段抜かしして戻って…というようにジグザグに登ったり降りたりしているメロディーです。


その4

前回のレッスンで学んだ、6/8拍子での十六分音符を取り入れました。
多様なリズムを使っています。
難しく感じる人は、リズムを打つ練習をゆっくりのテンポから始めるなどの練習も取り入れてみてください。


その5

こちらも十六分音符も取り入れた曲です。
2小節目の「♯シ」は、音階には含まれない音ですね。
”前後の「♯ド」の半音下の音”と捉えても良いですが、”ダブルドミナントの構成音(*まだレッスンで出てきていません)”でもあります。
聴音がすごく苦手でも、理論を知っていれば推測することの出来る音です。
これらについては「耳コピ ヒント集」で扱う予定です。


嬰へ短調の有名曲

嬰へ短調で誰もが知っている有名曲というのが思いつかなかったのですが、ここではメンデルスゾーンの「ベニスの舟歌」を紹介します。
あまり有名でないかも知れませんが、ピアノの発表会では良く演奏される曲です。
打ち込みと思われますが、譜面付きの動画があったので貼ります。
メロディーだけでも良いので、目と耳とで嬰へ短調を味わってください。

練習問題

さて、それでは嬰へ短調の聴音問題にチャレンジしましょう!
1問ごとにレベルを少しずつ上げています。
5問作るつもりが、間違えて6問作ってしまったので今回は6問です。

1問目

嬰へ短調(fis moll)
4/4拍子
4小節・ト音譜表

2問目

嬰へ短調(fis moll)
4/4拍子
4小節・ト音譜表

嬰へ短調 聴音

2小節目と4小節目は音階の上行ですが、開始音が音階の途中の音なので少し難しいかもしれません。
そんな時は分かる音から逆算で数えるのも手です。
3小節目は3度の跳躍です。
3度音程は調和の良い音程で、和音を作る時にも3度ずつ音を積み重ねるように基本の音程なので、ぜひ慣れましょう♪

3問目

嬰へ短調(fis moll)
3/4拍子
4小節・ト音譜表

付点八分音符に続く十六分音符は、とても早く短く感じるかも知れませんが、その短い音に集中して聞き取ることを心掛けてください。
また、1小節目と2小節目は2拍目ウラと3拍目の音をタイで繋いでいますが、3拍子ではこのように3拍目の頭を明確にする書き方が親切です。

4問目

嬰へ短調(fis moll)
6/8拍子
4小節・ヘ音譜表

使っている音やリズムパターンなど、ちょっと難しくしました。
2小節目の1、2、3拍目の音はすぐに分かったでしょうか?
次の4拍目の音は主音(F#)で分かりやすいと思うので、そこから逆算して推測するのも手です。
3小節目3拍目ウラのB♯は、前後の音の間を繋いだものです。
4小節目の3〜4拍目は、このようにタイを使って4拍目の頭の位置を明確に示します。

5問目

嬰へ短調(fis moll)
4/4拍子
4小節・ヘ音譜表

敢えて少し難しくしています。
100点満点でなくても大丈夫です。
3小節目が、なかなか速いフレーズでしたね。
パッと聞いて分からない時は、普通のテストと同様に分かる音から埋めましょう。
そしてその埋めた音をヒントに、分からない音を推測することも出来ます。

6問目

嬰へ短調(fis moll)
4/4拍子
4小節・ヘ音譜表
*アウフタクト

こちらも速めで忙しい曲でしたね。
敢えて少し難しくしているので、挑戦のつもりで分かる音から埋めていき、出来るところまで仕上げてみて欲しいです。
アウフタクトなので最後の小節の拍数にも注意です。

おわりに

以上、シャープ3つを調号に持つ嬰へ短調のレッスンでした。
他の調のページでも書きましたが、難しく感じたり慣れない感じがしたりする時は、知っているシンプルな曲をその調で弾いてみるのがおすすめです。
と言っても童謡などは圧倒的に長調が多く、短調の「赤い靴」や「小さい秋見つけた」は知名度がどうなのか、またいきなり取り掛かるには少し難しいかと思います。
なので「白鳥の湖」や「モルダウ」などを嬰へ短調で弾いてみるのも良いでしょう。

今後のレッスンでも嬰へ短調の曲も取り入れていくので、少しずつ慣れて習得しましょう!

[PR]タブレットページターナー ワイヤレス Page Turner 楽譜をめくるペダル