聴音上級の練習問題集です。
上級Aは中級終了程度、
上級Bは上級程度、
上級Cは難問
のようにおよそのレベル分けをしています。
当ページは上級Aの1ページ目です。

音源はご自身で必要回数繰り返し再生してください。

練習問題集 上級A 1〜18(ト音譜表)

調号♯♭4つまでの調を扱っています。

(1)ハ長調、3/4拍子、4小節、ト音譜表

臨時記号がたくさん出てきた課題でした。
❶は、「ミ」の音から半音下に行って戻る、刺繍音。
❷と❻は、「ソ」と「ファ」に挟まれた経過音。
❸(2小節目)は、3拍子のリズムの書き方ではないですが、小節全体がシンコペーションなので、この書き方もOK。
❹は、「レ」に半音下から向かう倚音。
❺と❼は、発音のタイミングは同じですが先の音符の長さが異なることに注意。
❽は、シンコペーションの書き方でなく普通に八分音符をタイで結ぶ書き方も良いです。

(2)イ短調、6/8拍子、4小節、ト音譜表

❶1小節目が必ずしもⅠ(ここではAm)とは限りません。この曲はⅤから始まっています。
❷は、「ミ」に半音下から向かう倚音。<。
❸短調の曲で、♭Ⅱ(ここではB♭)はけっこう使われます。♭Ⅱの響きを覚えておいてください。
❹最後はAm6(ラ・ド・ミ・♯ファ)の響きでした。

(3)ヘ長調、4/4拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(3)答え

❶ダブルドミナント(ドッペルドミナント)Ⅱ7。この小節はG7(Ⅱ7)ーC(Ⅴ)で、局所的にハ長調。なので♭シでなく♮シになっています。
❷♭Ⅶ音(ここでは「♭ミ」)は、よく登場する音です。
Ⅰ7(ヘ長調ならばF7)だったり、Ⅲm7(-5)ーⅥ7だったり、Ⅱdim、Ⅵdimだったりの時などです。
ここではⅢm7(-5)ーⅥ7かⅥdimです(どちらの和音も付けられるので解釈次第)
❸は、「ミ」に半音下から向かう倚音。

(4)二短調、3/4拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(4)答え

❶「ラ」音に半音下と半音上から向かう、ダブルの倚音。
❷(2)と同様に♭Ⅱを取り入れています。
❸「♮」を忘れずに。

(5)ト長調、3/8拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(4)答え

3/8拍子の問題は当サイトではこの上級問題が初めてなので、まずは少しやさし目の問題から…
❶一拍単位の連行で書くのも正解です。
❷(2)十六分音符の三連符であることに注意してください。
❸「ミ」と「ソ」を半音で埋めています。
中級レッスンで「ざっくりと上行は♯、下降は♭」と書きましたが、もう一つ基本のルール的なものがあります。
それは、近しい関係にある調の音で表す、というものです。
いつも必ずそうなる訳ではありませんが、例えばここでは、ト長調に近い調=ハ長調(下属調)、二長調(属調)、ホ短調(平行調)、ト短調(同主調)ですが、これらの調で「白鍵のファ」は、E♯でなくFですよね。
なので3連符のこの2番目の音は「♮F」で表されています。

(6)ホ短調、6/8拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(6)答え

7度、10度など離れた音程ばかりで作ったメロディーでした。
特に最初の2音は、調の主音と導音(第7音)とで独特な響きを生み出しています(コードではEmM7)。
この響きも覚えておいてください。

(7)変ロ長調、4/4拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(7)答え

❶は、「レ」の音から半音下に行って戻る、刺繍音。
❷は、Ddim-G7。
ほか、八分休符と十六分休符にも注意してください。

(8)ト短調、2/4拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(8)答え

(9)二長調、3/4拍子、4小節、ト音譜表 *アウフタクト

聴音上級(8)答え

❶は、ピンポイントで平行調であるh moll(ロ短調)になっているために「♯ラ」(=ロ短調の導音)になっています。
❷は、Ⅳm(=Gm)です。
❸「♮」を忘れずに。

(10)ロ短調、6/8拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(10)答え

❶は、Ⅱ7(ここではC♯7)。メロディーに7thの音はありませんが、ダブルドミナント(ドッペルドミナント)です。
ダブルドミナントは短調長調ともに良く出てくるので理解しておきましょう。
❷もダブルドミナントでコードC♯7です。「♯ミ」「♯ソ」の2音にシャープがつくので注意。

(11)変ホ長調、4/4拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(10)答え

❶(3拍目)は、コードE♭dim。Ⅰに続くⅠdimも良く使われるので響きで覚えておくと良いでしょう。
❷(3拍目-4拍目)は、G7-Cmで、一時的に平行調であるハ短調になっています。
❸はⅣm7(ここではA♭m7)。C音とG音が半音下がって♭が付くので注意。
❹は速いフレーズで、B♭音から全音・半音・半音・半音の並びになっています。
速く細かいフレーズの聞き取りが難しい場合は、着地点から逆算するのも手です。
このフレーズの場合は、すべて半音で逆算すると半音分足りないことになり、どこかが全音ということになります。
その場合、聴いてまず分かりやすいのはスタート地点とゴール地点でしょう。

(12)ハ短調、4/4拍子、4小節、ト音譜表 *アウフタクト

聴音上級(10)答え

❶は、2拍目B♭7、3拍目E♭、4拍目E♭7と次の小節を含めて平行調である変ホ長調になっています。
❷6度音程でt段ずつ下がってくるフレーズ。
❸アウフタクトなので最後の小節の拍数に注意してください。

(13)イ長調、3/4拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(13)答え

❶は、「ミ」音に半音下から向かう倚音という捉え方もありますが、流れ的にⅠdim(2拍目後半のみ)と捉えた方が自然でしょう。
❷はⅠ7(ここではA7)。 ❸はⅥ7(ここではF♯7)で、次のⅡmに向かいます。

(14)嬰へ短調、6/8拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(14)答え

❶は、ダブルドミナントであるⅡ7(ここではG♯7)。ただしⅤ7には進まずに、平行調のⅤ7に進んでいます(❷へ)。
❷(3小節目)は、平行調であるイ長調のⅤ7ーⅠの進行です。

(15)変イ長調、4/4拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(14)答え

中級終了程度での調号4つは少し難しいかとお思うので、ここからは少し易しい課題にしています。
❶(3小節目)はB♭7ーE♭で、ピンポイントで属調である変ホ長調になっています。

(16)へ短調、2/4拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(14)答え

❶EdimまたはC7(-9)。

(17)ホ長調、3/4拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(17)答え

(18)嬰ハ短調、4/4拍子、4小節、ト音譜表

聴音上級(18)答え

練習問題集 上級A 19〜32(ヘ音譜表)

ヘ音譜表の課題です。

(19)ハ長調、4/4拍子、4小節、ヘ音譜表

❶は、Fm(-5)またはFdim。
❷は、次の小節のDmに向かうA7(-9)で、二短調の和声的短音階を使っています。
❸もA7(-9)。 ❹はG7(-9)。

(20)イ短調、6/8拍子、4小節、ヘ音譜表

❶のD♯音の捉え方は複数あります。
ひとつはコードAdimやAm(-5)の5thであるという解釈。(この場合理論的に正しくはE♭になります)
ひとつはコードB7(Ⅱ7)の2ndであるという解釈。
捉え方によって「D♯」なのか「E♭」なのか解釈が変わりますが、前後が「♮E」音なので、記譜的にはD♯の方がスムーズかと思います。
❷は、ピンポイント的に同主調であるイ長調になっています。
この小節のG♯音、F♯音はイ短調旋律的短音階のものではなく、イ長調の6th、7thです。

(21)ヘ長調、3/4拍子、4小節、ヘ音譜表

❶はピンポイント的に属調であるハ長調になっています(F-G7-C)
❷は、ピンポイント的に同主調であるへ短調になっています。

(22)二短調、2/4拍子、4小節、ヘ音譜表

❶はⅡ7(E7)もしくはⅠdim(Ddim)と解釈できます。
後者の場合は理論上の正解はA♭音になりますが、流れ的に音階で下がって来ているので、G♯と捉える方が自然かと思います。
G♯と書いた場合は、同小節2拍目のG音に♮をつけるのを忘れずに。 ❷コードB♭=音階上の和音のⅥですね。
❸コードC♯dim。

(23)ト長調、4/4拍子、4小節、ヘ音譜表

❶前半のコード進行
G-G♯dim-Am-B♭dim
長調でのこの進行はよくあるパターンです。(ⅠーⅠ♯dimーⅡmーⅡ♯dimーⅢm〜)

(24)ホ短調、3/4拍子、4小節、ヘ音譜表

小節の頭が休符の曲もあるので、カウントは常にしっかり取って惑わされないようにしましょう。

(25)変ロ長調、6/8拍子、4小節、ヘ音譜表

❶はⅥ7(G7)。Ⅱmに向かいます。
長調のⅥ7は、音階音の主音が半音上がることになるので、引き締まるようなハッとするような、特徴ある響きになります。
❷はⅣm(E♭m)。長調でのⅣmもよく使われるのでその独特の響きを覚えてしまいましょう。

(26)ト短調、5/4拍子、4小節、ヘ音譜表

5拍子には[2+3](強弱 強弱弱)のタイプと[3+2](強弱弱 強弱)のタイプがあります。
どちらなのかを見極め、記譜をそれに合わせましょう。

❶はⅡ7。E音に♮をつけるのも忘れずに。

(27)二長調、4/4拍子、4小節、ヘ音譜表

❶はⅣm。長調でのⅣmの仲間は切ない雰囲気が特徴です。
❷は速くて細かいフレーズで、これまでの問題に比べると少し難しいかもしれません。
が、Ⅲm7ーⅥmーⅡm7ーⅤ7(F♯m7ーBm7ーEm7ーA7)というお決まりのパターンのコードトーンを使っているだけなので、実はシンプルです。
❸は♭Ⅶ(=コードC)。長調においての♭Ⅶも時々使われ、これまた独特の響きを持っています。
勇ましい雰囲気を持つ曲や、スケールの大きい曲などの最後でもよく使われる和音です。

(28)ロ短調、2/4拍子、4小節、ヘ音譜表

❶は、Ⅱ7(C♯7)。7thの音は使われていませんが、次のF♯(Ⅴ)に向かうドミナントセブンと解釈するのが妥当でしょう。
❷は三十二分音符です。

(29)変ホ長調、3/4拍子、4小節、ヘ音譜表

(30)ハ短調、6/8拍子、4小節、ヘ音譜表

❶主音と第2音が半音の関係にあるのはフリギア旋法(フリジアンスケール)と同じで、独特の暗さ、曲調によってはエキゾチックな雰囲気を作る場合もあります。
❷♭Ⅱ(D♭)は短調では時々使われる和音です。

(31)イ長調、4/4拍子、4小節、ヘ音譜表

❶は、コードC♯(=Ⅲ)。
❷は、Ddim(=Ⅳdim)。

(32)嬰へ短調、6/8拍子、4小節、ヘ音譜表

❶は、コードG♯(=Ⅱ)。

>おわりに

以上、聴音練習問題集 上級A-1の32問でした。
中級終了程度を想定して、そこまで難しくないレベルにしています。
もし調号の♯♭が増えてくると難しく感じる場合は、シンプルな曲(童謡など)をさまざまな調で弾いたり、譜面にしてみたりするのも良い練習になるでしょう。
聴音上級では今後様々なレベルの問題を掲載していく予定なので、どんどんチャレンジしてみてください♪