花火

HANABI



目の病気の悪化に怯え、不安で一杯だった頃。

たしかあの夏は、隅田川の花火大会と、取手の花火大会に行きました。


すでに駅から始まっているお祭りの雰囲気。

皆がワクワク高揚していて、何もかもが準備万端。

隣には嬉しい相手。

気候も最高。場所取りもバッチリ。

そして始まった花火は、期待を裏切らない迫力と美しさ。


なのに、私は見え方ばかり気になって、一瞬たりとも目の不安から逃れられませんでした。

夜空に美しく上がる花火を、ついつい片目ずつ見比べてしまいました。


その後、目はゆっくりと悪化して行き、私は「花火が見えない」という現実に向き合うことが怖くて、花火大会に行くのを止めてしまいました。



あれから数年。

昨夏、小さい規模の花火大会を見に行きました。

最初の一発を見る直前まで、恐怖でした。

いろいろ思い出のある花火。

見えなくなった現実に出会ったら、過去の思い出も壊れてしまうような不安を抱いていました。


でも、小規模だったのが幸いし、近くで打ち上げられた花火は、想像していたよりもずっと見えました。単眼鏡を併用しつつではありましたが。

暗い中、友の横で、私はひっそりちょっぴり泣きました。

感動とか、嬉しさとか、これまでの思いとかが、いろいろ込み上げて来ました。

自分の中で、何かが一区切りしたように感じました。


そして今年も花火を見ることができました。

最初はスマホのカメラを構えたけど、自分の目で見れる一つ一つを見逃したくなくて、すぐにスマホを仕舞いました。

来年も、再来年も、その先もずっと見続けたいな。