シンコペーションという言葉を聞いたことがありますか?
聴音や耳コピの能力向上に直接関係あるものではないですが、音楽の基本的な知識のひとつです。
初級レッスンでのシンコペーションで知ってほしいことは、
・シンコペーションとはどんなものか?
・シンコペーションにより、記譜のルールの例外がある場合がある
ということです。
早速見てみましょう!

(1)シンコペーションとは?

入門レッスン13の記譜法の基本でも触れましたが、拍子の拍には強弱があります。

拍の強弱

どの拍子でも1拍目は「強」で、4拍子と6拍子は一小節の半分のポイントで「中強」となります。
が、例えば同じ高さの音がタイで結ばれるなどして強拍や弱拍の位置が移動することをシンコペーションと言います。
日本語では「切分音」と言いますが、シンコペーションというのが一般的です。

そしてシンコペーションにおいては、今まで説明してきた
”拍数や拍の頭の位置が明確になるように記譜する”
というルールに、ちょっぴり例外が出来ます。
どういうことなのか、以下で見ていきましょう♪

(2)シンコペーションの例と記譜

[一拍移動]4拍子の中強拍

例えば上の曲。
2拍目と3拍目の音がタイで結ばれていますね。
なので、3拍目(中強拍)の音は、2拍目から発音していることになります。
この時、この中強拍は2拍目に移動し、シンコペーションとなります。

そして記譜の基本からは外れ、下記のように書かれることが一般的です。
「4拍子では3拍目を明確に!」というルールを守らなくて良い、数少ないケースです。
なにしろ3拍目を明確にしなくても、パッと見で拍も拍子もリズムも丸分かりですからね。

ちなみに6拍子にも中強拍がありますが、そのシンコペーションでも記譜のルールは変わりません。
6/8拍子で”4拍目頭を明確に”のルールを破ると、3/4拍子との見た感じの区別がしにくくなってしまいます。

[一拍移動]小節をまたぐ

上の例は中強拍の移動でしたね。
では強拍の移動ってあるのでしょうか?
あるんです。

4拍目の音と、次の小節の1拍目の音がタイで結ばれています。
これによって強拍が前小節4拍目に移動します。
1拍でなく、半拍や1/4拍その他でも、この小節をまたぐシンコペーションはあります。

半拍移動

シンコペーションの単位は一拍ではなく、半拍やもっと細かい単位でも生じます。
次の例を見てみましょう。

タイによって、弱拍(2、4拍目)の位置が移動しています。
これは下記のように書くことが一般的です。

もっとシンコペーションだらけな場合は…?

タイだらけですが、下記のように書くと見やすいです。
やはり3拍目の頭は明確にします。

もっと細かいシンコペーション

十六分音符の聴音を本格的にするのは中級以降の予定ですが、紹介だけ…
強拍・弱拍とは異なりますが、十六分音符の刻みにも自然な表と裏があります。

この「表」を強拍・中強拍と同じように捉え、その位置が変わった時にシンコペーションになります。

その他の記譜例

以上がシンコペーションの説明ですが、記譜の実際をもう少し見てみましょう。

2/4拍子

2/4拍子 シンコペーション

★(星)の部分がシンコペーションです。
上記の表記も正解ですが、下記の方が見やすく一般的かと思います。
2拍目の頭が明確でないですが、拍数や何拍子なのかは、問題なく分かりやすいです。

2/4拍子 シンコペーション

3/4拍子

★(星)の部分がシンコペーションです。
上記の書き方でOK…に思います。
何度か書きましたが、3/4拍子は6/8拍子に見えないように書くという基本のルールがあり、2/4拍子の時のように音符をまとめると、6/8拍子のような見た目になってしまいがちです。
…ですが、実際の楽譜ではそのような表記も多々あります。
曲による、フレーズによる、書き手による、といったところでしょうか。
間違いないのはやはり上記かと思います。

また、下記の書き方もあります。
3拍目が明確になっており、6/8拍子には見えませんね。

さらに…
下記は6/8拍子に見えてしまう表記です。
その点ではNGですが、実際の楽譜ではけっこう存在します。
3/4拍子の曲の中の一部でこれが出てきたとして、戸惑わないレベルですよね。

(3)おわりに

以上、シンコペーションの説明と譜例の紹介でした。
今後のレッスンでもシンコペーションをどんどん取り入れていくので、「あ、シンコペーションだ!」と発見してみてくださいね。
楽譜の書き方は、とにかく「見やすく分かるやすく」が第一です。
なにかの楽譜を手にしたときに、そのリズムがどのように書かれているかを観察してみてください。
(市販されているものは絶対に100%正しい、ということは決してありませんが…)