これまでも
ハ長調イ短調ヘ長調臨時記号と調号
それぞれのレッスンで、調や調号に関して触れて来ました。
この先もっと多くの調を学ぶ前に、総合的な基礎知識を付けておきたいと思います!

(1)調号と長調と短調

これまでのレッスンでは、ハ長調(調号なし)、イ短調(調号なし)、ヘ長調(調号♭1つ)を見て来ました。
ここで一気に他の調の紹介をしてしまおうと思います。

まず、調号のない調ではハ長調とイ短調があったように、
同じ調号では長調と短調が1つずつ存在します。
そして調号1つ、調号2つ、3つ…と調号が増えていく順番は決まっており、規則性があります。
先にその規則性を見てみましょう。

(2)調号の順序と位置

フラット系

調号 覚え方 フラット

先に習ったヘ長調は、「シ」がフラットでしたね。
そしてそれ以降の調号の増え方は、上図のようになります。
覚え方は、「シ」からスタートして4度上ごとの音にフラットが付きます。
上の図にもありますが、
「シ」ドレ「ミ」ファソ「ラ」…
という順です。
そして調号♭を書く位置は、最初の「シ」から次に上の「ミ」、次に下の「ラ」というふうに上下にジグザグ進みます。

シャープ系

シャープの調号を持つ調はまだレッスンで扱っていませんが、「ソ」の音を第1音として長音階を作ろうとしてみると、第7音である「ファ」の音を半音上げてシャープにする必要があります。
つまり、シャープの調号を一つ持つ調はト長調で、その調号の位置はファの位置です。
そして調号のシャープは下図のような順で増えていきます。

調号 覚え方 シャープ

フラットは4度上ごとの順でしたが、シャープは4度下ごとになります。
「ファ」ミレ「ド」シラ「ソ」…
という順です。
フラットでは最初の調号の次は上に続きましたが、シャープでは下に行き、ジグザグに進みます…が「ラ」の調号の時に下がり、再びジグザグに進みます。
(高い方のラだと、五線からはみ出してしまいますからね!)

(3)調号と調

同じ調号の長調と短調

上で書いたように、同じ調号では長調と短調が1つずつ存在します。
それらをここで一挙に載せます。
が、その前にこの同じ調号での長調と短調の関係を見てみましょう。

下の図は、調号なしのハ長調とイ短調の主音(第一音)を書いたものです。
その2つは3度の関係にあることが分かります。
「3度」と言っても間隔の広い3度から狭い3度まであるのですが、鍵盤で示すと間に黒鍵が一つしか入らない、狭いほうの「短3度」という音程になります。

調号 長調と短調

そしてこの長調と短調の短3度の関係は、全ての調で共通です。

すべての調と調号

それでは、全ての調の調号と主音(第1音)を以下に示します。
フラットが一つ増える度に、調は4度上がります。
シャープが一つ増える度に、調は4度下がります。

調 調号 一覧

(4)慣れるまでの覚え方

こんなにたくさん、ワケが分からない!覚えられっこない!!
と焦った方、大丈夫です、これはそれぞれを全部記憶するというものではありません。
慣れていくうちに、「二長調ならシャープが2つだな」とか、「ハ短調だからフラット3つだな」とか、覚えなくとも当たり前のこととしてわかってくると思います。

とは言ってもそこまで行くのにそれなりに時間もかかるので、簡単な覚え方(理解の仕方)も紹介しておきます。
まず♯系から。

調号で一番右にある♯の位置に対して、1つ上が長調の主音つまり調名になります。
上の画像では、♯が「ファ」の位置にあり、長調の主音は「ソ」つまりト長調になります。
短調は上で書いたとおり、長調の3度下です。
上に挙げた調号と調一覧でも確認してみてください。

続いて♭系。

一番右にある♭の位置に対して、4度下の音が長調の主音、つまり調名になります。
上の画像では、♭が「シ」の位置にあり、その4度下は「シ・ラ・ソ・ファ」で「ファ」が主音すなわちヘ長調になります。

(5)練習問題

今回は聴音ではない問題です。

問題1

次の調号を持つ長調と短調を答えてください。

二長調とロ短調。

身に付くまでの覚え方・数え方

その1:一番右の調号の1つ上の音が、長調の主音。短調はその3度下。
その2:シャープ2つなので、ハ音(ド)から4度+4度下に数える。→[ドシラソ][ソラミレ]

問題2

二短調の調号を書いてください。

身に付くまでの覚え方・数え方

♭が増えるごとに4度ずつ上がるのは短調も同じ。
イ短調(主音ラ)の4度上が二短調(主音レ)なので、♭ひとつ。

(6)おわりに

以上、調号と調についての学習でした。
上でも書きましたが、「ええと、シャープが4つでホ長調か嬰ハ短調!」と暗記するものではなく、それぞれの調を知り、慣れることで自然に身に付くものです。
現段階では、
・同じ調号では長調と短調が一つずつある
・♭、♯それぞれの調号の書き順と書く位置
・♭は増える度に4度ずつ上がり、♯は増えるごとに4度ずつ下がる
などを理解し、覚えておいてください。

聴音初級レッスンでは、シャープ、フラット2つまでの調を練習します。