これまで短調はイ短調二短調を学びました。
今回はホ短調を見てみましょう!
なお、短音階についてはイ短調のページで詳しく書いています。

(1)ホ短調とは

ホ短調の「ホ」は日本語の音名で、ドレミでいうと「ミ」です。

音名

そしてホ短調とは、ホ調短音階を使って書かれた楽曲の調のことです。
というわけで、ホ調短音階を見てみましょう♪

ホ調短音階

ホ調短音階とは、「ミ」の音を主音(第1音)とする短音階です。
そして「ミ」を第1音として短音階の音列どおりに並べようとすると、「ファ」の音を半音上げる必要があります。
つまりホ短調の調号は、シャープが一つです。
同じくシャープ1つを調号に持つ長調は、ト長調でしたね。

調と調号についてはこちら レッスン16:調と調号

(2)ホ短調の実際

早速ホ短調を見てみましょう♪
短音階には3種類の音列がありましたね。

その1:自然(的)短音階(ナチュラル マイナー スケール)


その2:和声(的)短音階(ハーモニック マイナー スケール)


その3:旋律(的)短音階(メロディック マイナー スケール)


ホ短調の主要和音

続いて、音階の上に3度ずつ音を重ねて和音を作ってみます。

ホ短調 和音

主要なⅠ、Ⅳ、Ⅴ(Ⅴ7)を使ってパターンを作ってみましょう。


もう1種類。


(3)ホ短調の練習

ホ短調の音階と主要和音を確認したところで、いよいよホ短調の練習をしましょう♪
聴くだけでなく、ドレミで歌うことも併せて行ってください。

1曲目

音の階段を進んだり戻ったり、のメロディー。


2曲目

一定の音に戻るパターン。
「ミ」と他の音との距離を感じてください。
逆にもしこれが聴音問題ならば、
(ミ)(ミ)(ミ)(ミ)#ファ
→シラソ#ファ
という感じで、動く音だけの繋がりを追って聴くのも、手段のひとつです。


3曲目

和音構成音だけで作ったメロディー。
赤がⅠ、青がⅣ、紫がⅤ(Ⅴ7は二重線)で色分けしています。
メロディーの後ろにある和音を想像しつつ聴いてみてください。


4曲目

こちらも和音を色分けしています。
丸をつけた音符は、和音構成音ではない音(=和声外音、非和声音)。
このように構成音と構成音を繋ぐ音としての和声外音は、よく使われます。


(4)ホ短調の曲を聴いてみよう

ホ短調の曲ももちろんたくさんありますが、誰もが「どこかで聴いた」ことがある1曲は、メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64」ではないでしょうか?
タイトルだけ見ても「はい?」という感じかも知れませんが、曲頭のヴァイオリンのメロディーは、きっと聴いたことがあるはず。
下記リンク(YouTube)の動画は楽譜も同時に掲載されているので、音符を目で見て追うこともできます。

他にはスメタナのモルダウ(バルタバ)も有名ですね。

(5)練習問題

それではホ短調の聴音問題にチャレンジしてみましょう!

1曲目

ホ短調
3/4拍子
4小節

ホ短調 聴音

3小節目[ミーラ]は4度音程。ちょっと離れた音でしたが、分かりましたか?
難しい場合は、頭の中で2つの音の間を階段で埋めてみる(ミ・[ファ]・[ソ]・ラ)とか、4小節目最後の音である「ミ」から逆に数えてみるというのも手段のひとつです。

2曲目

ホ短調
4/4拍子
4小節

1小節目、3小節目は、ホ短調主和音(ミソシ)だけを使ったメロディーでした。

3曲目

ホ短調
4/4拍子
4小節

前半は旋律的短音階、後半は和声的短音階を使ったフレーズでした。
タイも迷わず正しく書けましたか?

4曲目

ホ短調
3/4拍子
4小節

少し難しい課題でした。
4小節目の「♯ド・♯レ」は迷わず答えられましたか?
難しい場合の捉え方として…
もしこれが和声的短音階ならば、「ド」「♯レ」間の増2度が異国ムードが生じるし、自然短音階「ド」「レ」ならばこのような「ザ・短調」という響きはなく、よって「♯ド」「♯レ」の旋律的短音階だ、というふうに考えることも出来ます。

5曲目

ホ短調
6/8拍子
4小節

6/8拍子でしたが、音符の長さを迷わずにスラスラと書けましたか?
1小節目最後の音と、2小節目最初の音が同音であることは、すぐ分かりましたか?

(6)おわりに

以上、ホ短調のレッスンでした。
これで長調3つ、短調3つを学びました。
今後のレッスンも、これらの復習も兼ねつつ進めて行く予定です。