和音とコード(1)

音楽をするならこれだけは知っておきたい!
そんな楽典(音楽理論)の基礎の基礎を優しくシンプルに解説する「やさしい楽典」。
今回のテーマは和音とコードです♪

和音の基本

高さの異なる複数の音が同時に響いた時の音を和音と言いますが、ここでは音楽で一般的な3度ずつ音を積み重ねて作る和音についての解説をします。
まずは各音の呼び方を示します。

コード 3度ずつ

根音はその和音の基礎となる最重要な音。ポピュラー系理論では「ルート」と呼ぶことの方が多いです。
根音と第3音(3rd)と第5音(5th)の3つから成るのが3和音です。

根音+第3音(3rd)+第5音(5th)+第7音(7th)の4つから成るのが4和音。
9th、11th、13thは、ジャズやポピュラー音楽で使われるテンションです。

このページでは3和音の解説をします。

3和音の種類

ある音から3度ずつ2つの音を重ねて出来た和音を3和音といいますが、その3度が"何3度"かによって、それぞれ異なる3和音が出来ます。
早速見ていきましょう!

長3和音

長3和音

みなさんお馴染みの「ドミソ」は、この長3和音です。
明るく素直な印象の響きかと思います。
長3和音は、
根音→第3音:長3度
根音→第5音:完全5度
という関係で成り立っています。

また、コードではルートの英語音名のみがコードネームになります。
上記の3和音は「C」がコードネームです。

短3和音

短3和音

暗く寂しい印象の短3和音は、
根音→第3音:短3度
根音→第5音:完全5度
という関係で成り立っています。

また、コードではルートの英語音名+mになります。
上記の3和音は「Cm」がコードネームです。

減3和音

減3和音

暗く不安を感じさせるような印象の減3和音は、
根音→第3音:短3度
根音→第5音:減5度
という関係で成り立っています。
言い換えると、根音から短3度ずつ2つの音を重ねた和音です。

また、コードではルートの英語音名+m(-5)になります。
上記の3和音は「Cm(-5)」がコードネームです。

増3和音

増3和音

暗くはないけれど、なんか落ち着かない不安定さを感じさせるような印象の増3和音は、
根音→第3音:長3度
根音→第5音:増5度
という関係で成り立っています。
言い換えると、根音から長3度ずつ2つの音を重ねた和音です。

また、コードではルートの英語音名+(+5)になります。
上記の3和音は「C(+5)」がコードネームです。

コードネームについて 「-5」は、他にも「♭5」などの表記、「+5」は、他にも「♯5」「aug」などの表記をします。
コードネームについては
01:はじめに…コードの基本|聴音も耳コピも
のページで詳しく説明しているので、併せてご覧ください。

音階上の3和音

4種類の3和音を確認したところで、今度は音階の各音を根音(ルート)として、それぞれに3和音を作ってみます。

長音階上の3和音

長音階上の3和音

和音の種類で色分けしてみました。
長三和音:Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ
短三和音:Ⅱ、Ⅲ、Ⅵ
減三和音:Ⅶ
となっています。
このうち特に重要なのは、Ⅰ、Ⅳ、Ⅴです。
後で説明します。

短音階上の3和音

短音階は3種類ありましたね。
楽典の本などでは、このうちの和声的短音階上の三和音だけを取り上げているケースも多いようですが、ポピュラーミュージックなどでは他の音階上のコードも使われるので、すべて載せておきます。 (旋律的短音階の下行は自然的短音階と同じなので、上行のみ取り上げています。)

短音階上の3和音
自然(的)短音階 
和声(的)短音階 
旋律(的)短音階 

長音階と同様に、特に大切なのは1、Ⅳ、Ⅴです。
以下で説明します。

主要3和音

音階(3)では、主音、属音、下属音が特に大事だと書きましたが、音階上の和音でも同様です。
そしてそれらは、主和音(T)、属和音(D)、下属和音(S)と呼びます。
(ローマ数字でⅠ、Ⅴ、Ⅳのようにも表します)
ためしに主要三和音だけを使ったシンプルなフレーズをいくつか挙げてみましょう。

長調の例

(1)ⅠーⅤーⅠ(T-D-T)


(2)ⅠーⅣーⅠ(T-S-T)


(3)ⅠーⅣーⅤーⅠ(T-S-D-T)


どれも馴染みのあるコード進行だったのではないでしょうか?
続いては短調の主要三和音を使ったフレーズを聞いてみましょう。

短調の例

(1)ⅠーⅤーⅠ(T-D-T)


(2)ⅠーⅣーⅠ(T-S-T)


(3)ⅠーⅣーⅤーⅠ(T-S-D-T)


こちらも耳に覚えのある和音の流れだったと思います。

和音の配置替え

さて、上の主要3和音の譜例で「えっ?」と思った人もいるかもしれません。
[ドミソ]の和音は良いけれど、[ソシレ]じゃなくて[シレソ]なの?などなど。
(注:和音を音読みする場合は、低い方の音から読みます

このように、和音の最低音が根音以外の音になったものを転回和音と言い、音楽理論では「第一転回形」だの「46(しろく)の和音」だの、転回に応じたそれぞれの呼び方があるのですが、このサイトでは省きます。

ここで伝えたいのは、どんな転回形であっても根音は根音(ルートはルート)だということです。
どんな転回形であっても、コードネームCはCということです。
(ConGとかはあります。次のページで例を挙げます)
つまり、根音と最低音は別物です。

また、上の主要三和音の譜例で、なぜ和音の転回形を使っているかというと、横の流れを自然にスムーズにするためです。
下の例はⅠーⅣーⅤーⅠですが、すべてを基本形にした左側は、次の音との音程差が5度もあり、無駄に跳躍感が目立って横の流れを感じられません。
一方、転回形を取り入れた右側は、次の音との音程差は2度までで、横の流れがスムーズです。

次に続く

さて、このページでは主に3和音について書きましたが、次のページでは4和音やコードネームその他について書きたいと思います。

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