和音とコード(2)4和音

音楽をするならこれだけは知っておきたい!
そんな楽典(音楽理論)の基礎の基礎を優しくシンプルに解説する「やさしい楽典」。
今回は前回に引き続き和音のお話です♪

4和音

前のページでは音階音の上に3度ずつ音を2つ積み重ねて3和音を作りました。
今度はさらに3度重ねて4和音を作ってみます。

4和音で新たに加わる音は、根音(ルート)から7度の音なので、4和音は「7の和音」とも呼ばれます(主にクラシック理論で)。
では早速見てみましょう!

音階上の4和音

まずは長音階・短音階ぜんぶ載せちゃいます。

長音階
長音階上の4和音
自然(的)短音階
自然(的)短音階上の4和音
和声(的)短音階
和声(的)短音階上の4和音
旋律(的)短音階
旋律(的)短音階上の4和音

まず、七の和音で一番重要なのは「Ⅴ7」で、「属七の和音」と言います。
これについては後で説明します。
先に、たくさん出て来たコードネームについて簡単に説明しておきます。

4和音のコード

コードネームについて ここでは簡単に流しますが、コードネームについての詳しい説明は
01:はじめに…コードの基本|聴音も耳コピも
のページで詳しく説明しているので、併せてご覧ください。

□M7(メジャーセブン)

長三和音+長7度。
明るく緊張感のある響きを持っています。
例「CM7」(シーメジャーセブン)など。
クラシック理論では「長7の和音」と言います。

□m7(マイナーセブン)

短三和音+短7度。
クールな響きでしょうか。
例「Dm7」(ディーマイナーセブン)など。
クラシック理論では「短7の和音」と言います。

□7(セブン)

長三和音+短7度。
5度下に行きたい習性を持ち、ドミナントセブンとも言います。
例「G7」(ジーセブン)など。
クラシック理論では「属7の和音」と言います。

□m7(-5)(マイナーセブン フラットファイブ)

減3和音+短7度。
翳りがあるような、情感のある響きでしょうか。
例「Bm7(-5)」(ビーマイナーセブン フラットファイブ)など。
クラシック理論では「減5短7の和音(導七の和音)」と言います。

□mM7(マイナーメジャーセブン)

短三和音に+長7度。
マイナーの暗さと、長7度の緊張感が同居する独特な響き。
例「AmM7」(エーマイナーメジャーセブン)など。

□M7(+5)(メジャーセブン オーギュメント)

増3和音+長7度。
落ち着かない独特の響きがあります。
例「CM7(+5)」(シーメジャーセブン オーギュメント)など。
クラシック理論では「増7の和音」と言います。

□dim(ディミニッシュ)

減三和音+減7度。
言い換えると、根音から短3度ずつ音を重ねて作った4和音です。
昔のサスペンスドラマで使われていそうな音。
例「Bdim」(ビーディミニッシュ)など。
クラシック理論では「減7の和音」と言います。

曲の中での4和音

さて、上記4和音を聞いて、抵抗がなかった人も、不快さを感じた人もいるかと思います。
古くからの有名なクラシック曲では、属七の和音以外の4和音はあまり使わないことが多いので、特に歴史あるクラシック好きの方などは、例えばメジャーセブンスなどは不快に思うかも知れません。
対して、ジャズなどでは逆に4和音が普通です。

ここでは「シンプルに最低限」をモットーにしているので、以下の属七の和音以外の説明は省きますが、
耳コピ ヒント集|聴音も耳コピも
では、それぞれのコードを目と耳とで学べるようにしているので、ご覧になってみてください。

Ⅴ7の特性

さて、4和音の中でⅤ7(属七の和音/ドミナントセブン)は独特な性質があります。
まずはハ長調のⅤ7を見てみましょう。

G7

これだけを聞いてみて、どうですか?
例えばこれが曲の最後だったら?
定位置に戻っていないような、宙に浮いたままのような、まだ帰宅していないような、「これじゃ終われない感」がないでしょうか?

というのは、Ⅴ7の和音というのは、「Ⅰに行きたい」という性質を強く持っているのです。
G7の場合、「ファ」の音はⅠの「ミ」に、「シ」の音はⅠの「ド」に行きたいという性質を持っています。


ね?これでスッキリしたと思いませんか?
半端だった物事が解決したような感覚ではありませんか?
また、Ⅴ7ーⅠによって、ハ長調感がくっきりはっきりします。
このように、「Ⅴ7」は「Ⅰ」に進むのが基本です。
(ジャンルや曲、また特定のコード進行において例外は多々あります)
Ⅴ7の3rdと7thの「宙ぶらりんはイヤ、解決して!」という声に耳を傾けてください。

省略できる音

さきほどの譜例ですが、コード「C」の構成音を見ると、「ド」と「ミ」のみで、「ソ」がありませんね。
このように、和音には省略できる音があります。
逆に言うと、1th、3rd、7thはその和音の性質を決める重要な役割なので省略できません。
省略できるのは5th(完全5度の場合のみ)です。

例えばⅠ、Ⅳ、Ⅴ7を使った基本型では…


上の譜例では、Ⅴ7の5thを省略しています。
ピアノなど鍵盤楽器の演奏でも、Ⅴ7 5thの省略はこのようによく行われます。

和音 おわり

2ページにわたって和音について書きました。
和音は3度ずつの積み重ねで作られること、その積み重ねの音程によって種類の違う和音ができること、音階上の和音では特に大切なのがⅠ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅴ7であることなどを覚えておいてください。

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